株式会社 明和製作所

BLOG技術者ブログ

テクノフロンティア’24(アモルファスとは?)

2024.08.20

夏です。。夏ですねー!
夏というと青い空に真っ赤な太陽、キラキラ輝く海・・と昔はお決まりだったのですがこの暑さは異常だと思います。やはり地球温暖化の影響でしょうか。


 7月24日から26日まで東京ビッグサイトでの展示会「テクノフロンティア’24」に行ってきました。
今回の展示会ではNCT(ネクストコアテクノロジーズ)が『アモルファス材を使ったモータコアの量産化にメドがつきました』というコンセプトのもと展示ブースを出展され、モータ試作等のお手伝いをしていた関係で明和のモータもブースに置かせてもらえる事になり、説明員として私も東京へと向いました。

 アモルファス材は従来からモータコアに利用すると鉄損が非常に少なくなり高効率のモータが出来ることが知られておりましたが、25~35ミクロンと薄いものしか出来ずガラス質の構造の為打ち抜きが出来ず、巻コアの状態で一部トランス等に使われるのみで、量産のモータには使われておりませんでた。これが量産できるとなると凄いことが起こりそうです・・と今まで説明してきたのですが、、。


 今更ですがアモルファスとはいったい何でしょう??
ネットで色々調べメモしていた内容を下記します。けっこう面白いです!

 アモルファス(Amorphous)はギリシャ語で「形がないこと」を意味し、結晶構造を持たない非晶質とも同じ意味だそうです。また、形容詞なので正確には「アモルファス材料」などと呼ぶのが正しいそうです。
 ガラスはアモルファス材料の一種で過冷却状態が、ある転移温度を境にして見かけ上固体となる転移をガラス転移と呼び、明瞭にガラス転移を示す物質をガラスと呼ぶそうです。

 よく言われるように結晶質ではないので、内部構造は原子がごちゃごちゃに並んでおりそのために、アモルファス材料は電気伝導度や熱伝導度が結晶性物質と比べて低い値を示すと言うことです。半面平均的にばらばらの並びは規則性がないがために割れやすい方向が無く、全体として優れた強度や靭性を示すそうです。方向がないため平坦であり原子を積層させるためのフラットな土台として利用でき、太陽電池などの半導体素子にも使用されているそうです。

 原子配列がばらばらなアモルファス材料では、原子内の磁界が向きやすい方向が存在しないため簡単に方向を反転でき、それゆえ非常に小さな保磁力を示します。また、電気伝導度が低いため大きな電気抵抗率も示します。これらの事により、アモルファス材料は優れた軟磁性体と言う事だそうです。
 そうです、この特徴こそが①非結晶で磁区の回転単位が小さく、磁化反転が容易になるためヒステリシス損が小さくなる。 ②素材厚さが珪素鋼板と比較して約1/10のため渦電流が小さくなる。 ③電気抵抗が珪素鋼板に比較し約3倍のため渦電流が小さくなる。の低損失(低鉄損)につながっているのです。

 アモルファス金属には強靱性、耐食性、軟磁性に優れ、電子部品の材料として非常に有用です。しかし、非晶質であるため製造時に急速な冷却が必要で、薄いリボン状にしか成形できないという欠点がありました。今まで多くの企業がモータへの適用を考えていたようですが、なかなか「量産化までは出来ない」が結果だったようです。
 これがモータコアとしての量産化(プレス抜き)出来るとなると凄いことになるという、最初の話につながるのです。


 さて、話をテクノフロンティア’24に戻します。
NCTのブースには、沢山の来客があり、特にプレス打ち抜きのデモは大人気で皆さんカメラ片手にその様子に見入っておられました。NCTではアモルファスコアだけではなく、アモルファス材の欠点である飽和磁束密度(Bs)を一般コア材並みに高めたHLMETというアモルファスベースにコバルト添加の材料も開発しており、必要性能とコストで使い分けることで、より幅広い用途に対応できる材料のラインナップになっています。


 また、材料、量産用のコア抜き型だけでなくその前後の量産のための装置までの開発が進んでおり、沢山の企業からの問い合わせが来ているみたいです。更にシンポジウムでの大同大学 加納先生の「アモルファス積層コアを用いた4.5kW小型EV駆動用埋込磁石同期モータ」、NCT金清さんの「脱炭素社会に貢献する高効率モータ向けアモルファス積層コア」の講演にも沢山の聴講者があり、次世代コアへの期待と関心の高さが伺えるものでした。


 明和製作所は評価してきたアモルファスコアモータと35H材コアのまったく同一構造モータの同期運転の実演で消費電力の差をお見せしたり、評価の一部をパネルで展示説明を行いました。また、弊社のIPM-73タイプモータであればNCT製のアモルファスコア抜型があり、モータの試作にはすぐ対応可能です。

 明和製作所は自社のIPMモータのステータ(固定子)にこのアモルファス材HLMET材を使いモータの評価を実施し、また大同大の加納先生が設計されたアモルファスコアによる5KW小型EV用のモータの試作・評価も実施してまざまざとその低損失化(高効率化)を目にして来ました。

 私が思うにモータの高効率化はコアの形状、巻線方式更には銅線の形状まで変化させ低銅損化を推し進め、コア材、コア厚等の低鉄損化にも極限を求めてきましたがそろそろ限界かと思われた時、、。
え!!アモルファスコアの量産化が出来たの!?という(凄く大げさですが、、)
まるで救世主の出現を想像してしまいました。


 展示会が終わると会場から刺さるような夏の西日を浴び、ぞろぞろと人の波が駅まで長く伸びます。この波にのまれたまま満員電車にのりこみ、汗だくでフラフラの頭はなぜか?夏この時期になると必ず90過ぎた両親から「あんたはいうことを聞かないで外に飛び出し川でおぼれた、近所のおねえちゃんと、先生がいなかったら今頃この世にいないよ」と毎回お決まりの昔話を聞かされる事を思い出していました。3-4才だった私は夏休みで近所の子供たちの声につられ家を飛び出し川(用水路)へ向かい足を滑らせ落ちたみたいです。母は生まれてまもない妹をおぶったまま出ていく私を追いかけたが間に合わず、、川とは用水路で幅が4m程で、夏の時期は満杯の水が大人の背の高さで流れていました。母の叫ぶ声に出て来てくれた、近所のおねえちゃんが川へ飛び込み、拾い上げ更にたまたま居合わせた保健の先生が膝で私のお腹を押すと水を吐き出し息を吹き返したとのことです。二人が揃ってなかったら

と思うとぞっとする出来事です。
 しかしあのころの夏の空は今と違い、もう少し優しかったような気がします。その空の下を沢山の子供達が走りまわっていたような気がします・・と電車が着きました。冷たいビールを飲むしかない、とたんに頭の中はグラス一杯にそそがれ泡立つビールに変わってました。。


 毎年暑くなる夏を向かえ、気候変動を感じ脱炭素と叫ぶ声を聞きましたが、本当に今後地球環境はよりよい方向に変われるのでしょうか?子供のころから比べると凄く便利な世の中になりました。でもその反面何かが失われているような気がします。

 アモルファスコア利用のモータの事業に関わることができ、少しは地球の未来に貢献できるのではと色々模索しているところです。しかしまだまだ道は遠く果てしない・・。明和としても、個人としてもできる事をお手伝いする事で、地球の未来に少しでも貢献できればと思っているところです。


 今回のBlogは久しぶりに藤井がおおくりしました。


(上でもリンク張ってますが、展示会で展示した各社のパネルを下記にまとめておきます)

NCT・ビザイム社のパネル

(株)小松精機工作所のパネル

大同大加納先生のパネル

(株)明和製作所のパネル

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