電動工具用モータユニット(パワーユニット)を利用した開発例
こんにちは、先回に引き続き本ブログは明和製作所技術部の藤井がお送りします。
ゴールデンウイークも終わりこれから夏に向けての季節ですが、つい先日近所の人と会い交わした会話が・・「そういえば、ここ一年地域の行事がないので一度も挨拶してないね・・明けましておめでとう^^」という笑い話。こんなに近くに住んでいてもなかなか顔も合わせないのが今の日常なんだと感じる瞬間でした。
最近は元の生活に完全に戻るのだろうか?と不安になってしまいます。特に日本の場合は少子化が止められず、20年位先は労働人口が20%減少し、高齢化率が7%程度UPすることが分かっており、コロナ禍の影響で更に悪化することが考えられます。当然農村は過疎化が進み色んな所で人手不足は深刻化するでしょう。
そんな中、我々がいかにこの世の中に貢献できるかを考えると、やはり省エネ・自動化へのお手伝いではないかと考えます。ただ残念ながら弊社では、直接世の役に立つ最終製品を作ることができておりません。しかしながらその様な製品を作られているお客様へ使って頂ける省エネ・自動化のためのモータユニットは供給可能です。
ということで今回は電動工具用モータユニット(パワーユニット)を使う開発の例を紹介してみたいと思います。単純な例ですが、弊社の得意とするお客様と一緒に製品を作り上げる開発のイメージを感じて頂ければと思います。
例えば・・あなたのもとへ工場でステンレスの板を加工されているお客様より加工後のカエリを仕上げる面取機の開発の依頼があったとします。他のお客様からも同じような話があるため、機械を作り販売することになりました。あなたはカタログから適切なカッターを見つけ使おうと考えますが、専用の機械は大きく高額でもあり、お客様の仕様に合わないと思われます。大手電動工具メーカーのジスクグラインダが良さそうなのですが、買っていらない部分を外し専用の部品を付けて・・もちろん大手メーカーでは対応してくれないでしょうし、よほどコスト高になりそうです。
そんな時是非、明和製作所の電動工具用モータユニット(パワーユニット)のご利用を検討してみて下さい。残念ながらコードレスタイプはありませんので、形は古いですがパワフルな工具用モータが揃っています。(注:DCモータ、ユニバーサルモータ及びIPMモータはサイズ的にコードレスモータの利用は難しいですが、バッテリー駆動用としての対応は可能です。)また弊社では必要な減速機・構造物の設計・製作にも対応できます。まさにあなたのアイデアが詰まった専用工具を作り上げることが可能ではないでしょうか?!
それではその開発手順ですが、設計することを中心に見ていくと一般的には図1の様な手順になると思います。企画が通れば本格的に設計することになると思いますが、ここではそんな中で上記の工具を開発する場合を例にモータの選定ポイントを見ていきたいと思います。
実は外観上は同じに見えるモータも用途により構造が微妙に違うのです。特に工具の場合は用途により負荷の様子も環境も違うので細かい注意点が色々あります。例えばジスクグラインダは粉塵の多い環境で使われるのでモータ内部のコイルの隙間に粉塵が入り込まない様に工夫されていたり、湿気の多いところで使われる製品にはブラシ周りに特別な絶縁を施したり・・よってまずは「用途の把握」が重要になってきます。一般的な工具のどれかに分類される場合は弊社からもアドバイスできますが、特殊な工具の場合は実際の使用環境等を教えて頂きながら、対応するモータユニットを一緒に作り上げて行く事になります。(一番ノウハウの詰まった部分になります!)
次に「モータの仕様」を決める必要がありますが、初めて設計する機械(工具)の場合で市販のカッターや砥石等を利用するときは、それぞれの刃物には推奨される周速が決まっており、それから必要な回転数を導くことは可能です。
しかし必要な出力、トルクについては図2の式等からおおよその値を想定するしかないと思われます。もし他社の機械で似たものがあれば、その機械のモータをお借りして弊社でモータの性能を把握することで、そうでない場合は弊社のモータで仮作を作ってみて実際の負荷を確認することで必要なモータの性能を知ることが出来ます。
特に重要なのは負荷電流の値で、同じモータの場合負荷電流はトルクに比例しますので、実際負荷のかかった時の電流値を測定することで必要な負荷トルクを知ることが出来るのです。(図.3参照)また微妙な回転数の調整が必要であればスライダック等でモータへの供給電圧を変化させ、負荷に対する適切な回転数を求めることが可能です。必要なモータ特性が決まれば巻線、ギヤ比等を最適になる様調整していきます。そうやって作り上げた試作機(工具)を使い実際の作業を色んな角度よりさせてみて、問題点を洗い出し更に改良を進めます。上記の様に弊社の場合微妙なモータ特性、減速比の修正から使用部品の変更まで、細かく対応させて頂くことが可能です。
そしていよいよ生産(量産試作等)に移るのですが、ここではコストに合わせ例えば減速BOXや操作用の取っ手をアルミダイカスト金型やアルミ鋳物木型または樹脂成型金型等で製作することになります。
多くの場合、モータのフレームは弊社の標準部品を使って頂ける場合が多いのですが新しく専用の減速機、工具を取り付ける必要がある場合は、「投資」をして頂く必要が出てきますし、木型、金型の製作に時間がかかるため事前に売値、数量、投資、開発構想段階での計画が重要になります。また同じ様に「機械(工具)の規格」、輸出の場合は輸出先の規格等を事前に把握しておく必要があります。(作り上げた後となると修正・改造に多くの時間とコストがかかってしまいます。また、弊社のモータはお客様の専用機械(工具)になる場合が多いためモータそのものでは規格が取れておりません。お客様のご要求により、お客様の製品に対応した規格取得をさせて頂いております。)言うまでもありませんが、大きな規模の製品ほど図1の構想(企画)設計が重要になります。
色々書いてきましたが、モータユニットを使った開発手順について何となくイメージして頂くことは出来たでしょうか?ご質問等あれば気軽に連絡・相談して下さい。
今後の未来に向け省力、省エネは避けて通れません。皆様のアイデアを形にするために弊社のモータユニットを利用して頂くことで、少しでも未来のために貢献出来たらいいなと心より思っています。