株式会社 明和製作所

BLOG技術者ブログ

アモルファスモータについて(前編)

2023.05.10

 出張先で朝移動中、電車に慌ただしく乗込んで何とか座る事が出来ほっと顔をあげました。すると、電車の窓で切取られた木々の緑が、春のやさしい光でキラキラ輝いて、やっぱりこの季節はいーよなー、、とまるで詩人にでもなった気分でニコニコその景色に見入っていました。

 ふと気付くとその窓の席に若い女性が座っていて、何?この変態ジジイ、、と言う顔をしてこちらを見ているではありませんか!?ちがう、あなたを見ていたわけではありません・・と言う顔をしてももう遅い。と、先日大阪へ出張の折のどうしょうもない話です。
 でも本当にいい季節ですよね、私はこのふわーっとした春が大好きです。


 さて、ここのブログは会社の新人技術者が分かる位で作成・・とスタートしたのですが同じ新人でも専門は色々でしょうし・・レベルも色々で、更に弊社の場合、各お客様と一緒に開発がモットーの会社なので、なかなか核心の話は出来ないし・・と考えるとなかなかネタが見つかりません。
 前置きが長くなりましたが、そんな中今回はたまたまアモルファスモータの評価をしていましたので、このモータについて先のブログとは違い、すごく一般的な方向から書いてみたいと思います。

 今更ですがモータは高効率化(省エネ)が叫ばれていて・・その理由は世界中で使われている電気の多くがモータに消費されていることに起因しており(それだけモータで動いているものが沢山あるってことですが)、更に今後脱炭素化でよりモータを使う世の中になると、ますます高効率化(省エネ)は必要不可欠ってことになります。でも効率は100%以上には今の所出来ません!(・・誰かがブラックホールエネルギー利用の電源装置とか出してくれたら別ですが・・)とにかく現在モータは高効率化、小型化のために、マグネット、コア形状、材料等々あらゆる研究がされていると言う事だと思います。
 そこで、モータの損失を減らそう!ですが。モータの出力はおおよそ、P(出力)=N(回転数)xT(トルク)で表せます。出力を倍にするのにTを2倍にすると銅損が増し発熱で使えない・・よってサイズUPするしかない。じゃ回転数を2倍にすると、やはり鉄損がUPしてサイズUPと言う事で・・やれ分割コア+平角線で占積率をUPさせ銅損を減らす、コア材にシリコンを沢山使ってより薄くして鉄損減らせ~等々の技術が盛んに言われています。もちろんマグネットにおいても熱に強く良い材料は・・なるべく希土類は少なく~と叫ばれているみたいです。
 さて、そこでアモルファスの登場です。
 先ほど、コア材の鉄損を減らすのに・・と書きましたが今の所、究極のコア材がアモルファスではと思われます。アモルファスは鉄損が通常のコア材の約1/10、透磁率が高いが磁気飽和が早い材料です。  

 つまりモータの銅損を目いっぱい減らし、高速運転にすれば・・同じサイズで2倍の出力も可能ではと言う事です。もともとそういう発想で、アモルファスコアでモータとH社が報告したりした資料をかなり前に見たことがあります。ただ、そんなに良いやつなら、どうしてまだ市場に広まっていない?ってことですが、ここが研究と実用性の壁で、アモルファスは現在20μ程度の薄板しか世になく、しかも硬くてパリパリなので、プレス抜き出来ない・・と言う事みたいです。過去からプレス抜き出来たらと、色んな研究がなされている様ですがなかなかものになっていない様です。

 先に出てきましたH社さんのモータはどうも巻きコアの様です。巻きコアとは何ぞやって話ですが・・通常モータコアは軸方向に0.2-0.5mm程度の鉄板を積層させ、磁束が通ったときの鉄損の発生を減少させる構造になっています。これはプレス抜きできるという利点があり、コスト面でも理にかなっています。巻きコアはプレスできないので、長ーい板をぐるぐる巻いて使うので磁束が通る方向に薄い面を充てると・・構造上どうする?ってなります。よって巻線する部分の芯部へこのぐるぐる巻きを使い、後は通常のコアでみたいな構造にどうもなっている様で、なかなか難しい構造のモータになってしまうようです。と言う事は量産化は難しいってことでは?と思われます。逆に変圧器には構造上ぴったりなので、良く使われていると聞いた事があります。

(図は巻きコアの基本を表すものですが、これの応用で巻きコアをカッターでカットして利用したりと巻きコアは色んな形で使われています。コイルの巻きによる磁力の方向とコアの断面、または面の方向の関係と損失の事を色々考えモータにどの様な形でコアを使ったが良いか・・ではこのモータはどの様な思想で作られたのか?とか考えると何か面白いなーと思ってしまうのは私だけでしょうか?)

 ところが、これが40μの厚さで製造でき、更にプレス抜き出来るとどうでしょう?今までと同じような方法でモータがつくれます。現在EV市場はモータの高速運転化の方向にあり、そこにぴったりのモータが、例えば小型化されて出来上がってしまうかもしれないのです。先に誰かがここで報告してましたが、弊社もそのお手伝いをしており、単純にコアをアモルファスにし、モータの回転数を定格の3000r/minから6000r/minにするだけで効率が10%程度UPしました。(元のモータの出来が悪いからって声も聞こえますが・・元は250W程度、Φ73x60L程度の小型IPMで86%程度の効率のモータなので、サーボほどの高効率高性能のモータではありませんが、まあ、並みのモータと思います・・一応)以前SRモータの効率UPの研究をしていた時、5%UPさせるのにあれこれ手を尽くしてもなかなか達成できない思いをしたのが嘘の様です。
 そうです!アモルファスに特化した構造のモータをつくれば、なかなか良いモータが出来るのでは・・と言う事です。更に材料を重ねてプレスできれば・・抜き枚数も一般コアに近づき・・すごい事になるかも・・しれません!!

 もっとたくさん色んな情報を話したいのですが・・色々あって今は言えません(意味ありげ・・いやもったいぶりたいだけですが・・。)もう1ヵ月後にはもう少し話が出来るかもしれません、いや2ヵ月あとか?このページ連続して何度か私が書きますので「アモルファスモータについて(後編)」を2-3ヶ月の内に書けるのでは?と思っています、期待してください。もしかしたら、アモルファスモータラインアップ・・がいつの間にか弊社のページにUPされているかもしれません。(是非毎回ブログだけでなく本ページの方も探してみて下さい!)今回は藤井がお送りしました。

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